日本の薬剤師は国家資格で、試験に受かることで取得できるようになります。ただ、誰でもすぐに試験を受けられるわけではなく、一定の手順を踏まなければなりません。では、どういうルートで国家資格を得るのか、資格を得られる確率はどれくらいかを解説します。
国家試験を受けるためには、高校を卒業する、あるいは大学受験資格を得てから、大学の薬学部または医学部薬学科に進学する必要があります。そこで基本的な知識から、実践的な技術までひと通りを身に着けます。
薬学部には6年制と4年制の2通りがありますが、国家資格受験には6年学ぶ必要があるので、4年制の大学に通った後はさらに2年、大学院で学ぶこととなります。そして、一般的には6年制の大学は、仕事として薬剤師を目指す人が選ぶことが多いです。
それに対して4年生の大学は、薬に関する何らかの研究をする人が選びがちです。したがって、薬局や病院などの現場で働くのか、それとも製薬会社で薬の開発をするのかといったことに合わせて選択します。
国家試験を受けるのは毎年1万人から1万5千人程度で、その中から1万人前後が合格し、合格率にすると大体70%程度です。試験は2日に分けて行われ、生物や化学といった必須問題の他、理論や実践に関する試験など複数に分かれています。
いずれも基本的な内容は同じですが、時代に合わせて内容が変わっていきます。そして、それぞれ足切りラインが設定されていて、一定の点数以上を取れなければ、他の項目で良い結果を出せなければ、不合格になってしまいます。
また、薬の専門家として、選んではいけない選択肢も用意されていて、それを選択すると、点数とは関係なしに合格はできなくなります。合格率は7割と高めですが、6年間学習した上で、約3割の人が不合格になるので、厳しい試験と言えるでしょう。
薬学部のある大学に6年通う場合、国公立だと年間50万円前後、私立だと200万円程度の学費が必要です。最終的には国公立が300万円程度、私立は1千万円以上かかることになります。
そして、国家試験の受験料として1万円以下の費用が必要です。また、試験に合格したら、免許の発行料として3万円前後の費用が求められます。国家資格を得るためには時間と費用がかかりますが、薬を取り扱うのはそれだけ難しいということです。