薬剤師が対応する相手は高齢者が多くなるので、年をとっている人ならではの問題に対処する必要が出てきます。伝えた通りに薬を服用してくれないこともその一つで、飲み忘れる人や飲み過ぎてしまう人がいます。薬の効果を引き出すためには正しい量と回数の服用が不可欠なので何らかの対処が求められます。
高齢になると記憶力に問題が生じることもあり飲み忘れの問題は頻繁に起こります。忘れずに服用することを促すだけでは大きな効果は期待できないので、服用の必要性を理解してもらうことが大切です。何のために薬を飲んでいるのかということや、飲み忘れるとどのような問題が起こる可能性があるのかについて説明すると服用に対する意識が上がります。
家族などの周囲の人に接する機会があるなら、その人たちにもしっかりと伝えておきましょう。飲むように言われているから飲むという意識から、体のために飲む必要があるという意識に変えることで飲み忘れは少なくなります。
薬を決められた回数や分量を服用していない理由は飲み忘れに限られたことではなく、患者さんが服用を嫌がっている場合があります。高齢になれば飲み込む力が弱くなり、薬を飲む際に苦しみを感じる場合があります。大きさや形状などを工夫することで、負担を減らして服用への障害を取り除けば嫌がらずに飲んでくれます。
また強く勧められることに対する反発で薬を拒絶する場合もあります。被害妄想で有害なものを飲まされているという意識を持つ人もいて、強く勧めることが猜疑心を高める結果になってしまいます。高圧的な態度をとることなく丁寧に接して猜疑心を取り除く努力をすれば、信頼関係が高まり良い方向へ変わってくれることが期待できます。
決められた回数や分量を服用してくれないことと並んで問題になるのが飲み過ぎてしまうことです。分量や回数を間違えてしまう場合もあれば、飲んだことを忘れて更に服用してしまう場合もあります。傍に誰かが居る環境の人なら、その人に正しい服用の指導とこまめな残薬の確認を依頼しましょう。
協力者が確保できない場合は、一度に服用する量を小分けしておけば一回の分量を超えることが防げますし、更に日付を入れて一日単位で分けておけば二重三重に服用してしまう事態も避けられます。