医薬分業制に基づいて1990年代から病院外に薬局が店舗を構え始めました。今日まで約30年間で大学病院や地域の中核的病院など、診療科目の多い病院の周囲には院外薬局が大幅に増えました。今ではコンビニ店舗数を上回り、ほぼ限界に達したとの意見が出されている位です。
1990年代から最近まで、院外薬局の開業に合わせて薬剤師の求人が続いてきました。このため、雇用面では薬学系学生の間で調剤薬局やドラッグストアが人気の就職先として話題になりました。また、今に至るまで10年以上、人口減少が続いているにも関わらず高齢者の増加が続いてきたため様々な生活習慣病などを患う人が増え続けています。
高齢者が複数の病を抱えて10種類くらいの薬を処方してもらい、お薬手帳に記載した服用回数などを確認しながら飲んでいる話が良く話題になります。このように多くの薬を処方されているケースでは重複投与や飲み合わせのトラブルが発生して患者に悪影響を及ぼしているケースも起こっているようです。
今後も高齢者の増える社会ですから医療機関に診てもらう人も自ずと増加していくと見込まれているので医師の発行する処方箋の枚数も増加していくはずです。
薬局では既に薬剤師の採用を増やして対応していますが現状でも調剤業務が込み合っているようです。首都圏では医療機関で発行してもらった処方箋を街中の調剤薬局へ持参しても相当待ち時間の生じているのが実態です。調剤業務は医師の記載した処方箋を患者から受け取ってから医薬品を調合する作業ですから順番待ちで時間を要するのはやむをえないわけです。
ところが、2023年1月からネットワーク化された処方内容と調剤内容の管理システムの運用が始まり、医療機関、患者、調剤薬局共に利便性が高まるようになりました。医療機関における処方箋作成作業がペーパーレス化されて、ネットワークを通じて事前に処方箋情報が調剤薬局に届くので患者などの待ち時間が短縮されるはずです。
薬局でもペーパーレス化によりファイル保管、管理していた処方箋がなくなり、事務作業も軽減されるわけです。
薬局では事務作業が減って時間的余裕が生じると処方医に調剤結果など、患者に関わる必要情報を迅速に伝えることが可能となるはずです。従って、今までは医療機関と薬局間のコミュニケーションが必ずしも十分でなかったといわれてきたので処方箋情報のネットワーク化は朗報でしょう。
医療機関と薬局間で処方箋の電子情報共有化がリアルタイムでできると医師と薬剤師双方が質の高い医療を患者に提供する効果が期待できるからです。今後も国内は当分高齢化が進むと見込まれているので、多くの病を抱えて多種類の医薬品を服用する高齢者が増え続けると見込まれています。
こうした高齢者が飲み合わせトラブルなどを避けられて質の高い医療を享受するのに役立つはずだと評価されています。