薬剤師による服薬指導は、単に、医師から処方された薬を調合して、患者さんに渡すだけでは事足りないといいます。それは、患者さんにとってリスクが高まるからです。だからこそ、知識を持つスペシャリストがしっかり説明に励むことが必要になるのだといいます。
薬剤のスペシャリストなら、製薬会社で活躍していた職歴もあるでしょう。同じ種類の薬でも、製造元によって作り方が違います。それによって、微妙に効果や副作用にも相違がある話しです。薬剤のスペシャリストは、単に薬剤を開発するだけでなく、また、医師による処方箋通りに薬剤を患者さんに出すだけではなく、薬剤について説明することが必要になります。
また、その薬剤が持つ働き(効果や副作用)を知らずに、私達患者さんは服用してはなりません。これは、いくら有能な薬剤のスペシャリストが出してくれた薬剤であっても、何の説明もされていないのなら、服用してはなりません。
例えば、抗うつ剤でいえば、脳内のセロトニンを増やす働きを持っていることを患者さんに説明するのが一般的に行われています。さらに、商品名も横文字で高年齢者にはいささか理解しにくいようです。パキシル、ルボックス、レクサプロなどがありますが、名前と薬剤とをしっかり照らし合わせながら服薬指導をしています。
薬剤の形状や色味など、高年齢者でもわかりやすい特徴をしっかり説明にのせるなどを意識してくれます。例えば、横文字の商品名と同時に、ピンクで丸い形などの特徴を伝えます。また、軽症の患者さんもいれば、重症の患者さんもいるため、すべての患者さんに使用できる薬剤を選ぶことも必要になります。
製薬会社では、副作用が少ないので、先にあげたような抗うつ剤を臨床現場で選ばせている話しです。
もちろん、薬剤師が出してくれる薬剤だから、副作用なしで安心できるとイメージされるものの、副作用はゼロではありません。吐き気や食欲不振など、消化器系の副作用を訴える患者さんというのはやはり多いようです。完全なる安心・安全性が確立されていないだけに、用法用量を正しく守ってほしいと薬剤のスペシャリストたちが服薬指導に励むワケですから、患者さんもその思いに応えることが必要になるでしょう。
薬剤の知識を持つからこそ、服薬や通院を自己中断させないように患者さんとは常にコミュニケーションに励んでいます。ゆっくり慣らし運転が大切であることを患者さんにはしっかり説明しています。