薬剤師は国家資格であるため、国家試験を受験して合格しないとその資格を手にすることはできません。しかし、誰でも国家家試験を受験できるというものでもありません。果たして、国家試験とはどのようなものか、その概要について解説します。
医療系の専門資格である薬剤師は、不況にも強いといわれている職種であることから人気となっています。しかし、医薬品全般について専門的な知識をもつ必要があるので、試験を受けてそれに見合った知識があることを示さなければなりません。
しかも、国家資格であるため、国家試験を受けて合格する必要があります。ただし、だれもが国家試験を受験できるというわけではありません。国家試験を受験するためには、6年制の薬学部を卒業する必要があります。
つまり、薬剤師になるためには、まず薬学部を受験して合格しなければならないのです。短期大学や専門学校を卒業したのでは、国家試験の受験資格が得られないことに注意が必要です。ちなみに、全国における薬学部の設置数は2002年度では47校でしたが、その後新設ラッシュが続いたため2020年度時点では70校を超えています。
国家試験は毎年1回実施されます。かつては3月に行われていましたが、近年は2月の下旬に実施されることが多いです。2日間の日程で実施されることから、問題の数がかなり多いことが分かります。
試験はマークシート形式で行われ、出題数は全部で345問です。試験内容は必須問題試験・一般問題試験・薬学実践問題試験の3つの分野から成り立っています。必須問題試験では物理・化学・生物の分野が、一般問題試験では薬学理論が、薬学実践問題試験では薬理学や病態学などが出題されます。
いずれも専門的な知識を問われるため、薬学部在学中にしっかりと勉強しておく必要があります。しかも薬学部の授業はほとんどが必修の科目であるため、所定の単位が取れないと進級や卒業することができません。そのため、薬学部に進学すると、勉強漬けの毎日だと話す学生も少なくありません。
国家試験の合格率は受験する年によって変動がありますが、例年60〜80%を推移しています。一見すると高そうに見えますが、これは大学側で受験者を絞っているという側面があるからです。
つまり、成績の悪い学生は卒業させず、もう1年勉強してもらうようにしているのです。また大学によって合格率に差があり、高いところでは90%を超えているところもあります。一方、低い大学では60%程度にとどまるところもあるようです。
これは大学によって国家試験対策に力を入れているところと、そうではない大学との差があるからといわれています。