1990年代頃から本格的な医薬分業の掛け声がかかって薬局が病院周辺に増え始めて以来、薬剤師の求人も増え続けてきました。毎年1万人近くも合格する国家試験合格者が一時は引っ張りだこになるほど薬局やドラッグストアの増加が続きましたが、最近になってほぼ飽和状態になったといわれています。
2,30年前から全国の病院周辺に薬局やドラッグストアが増加し始めました。気づけば地域の中核的病院に限らず、中小の病院の出入口周辺に何軒もの薬局などが立ち並ぶ風景が全国で珍しくなくなってしまいました。この間、高齢者の増加が着実に進んでいて、医療機関にかかる患者や介護施設入所者も増え続けているため薬局などにおける調剤業務も増え続けているはずです。
そこで近年、こうした多忙な職場などでは薬剤管理や膨大な事務処理の業務には他の業種と同様に急速にAIの利用が始まっています。人手不足による業務の多忙が主な原因なので仕事を効率化するためAI導入が広がりそうです。
AIの得意とする大量のデータや情報を処理して調剤や薬剤管理、あるいは患者の服薬履歴把握などに利用するシステムを作ると薬局などの業務が大きく簡素化できるはずです。
一方、何年も前から若者の減少が続いているのに高齢化が急速に進行中で男女ともに平均寿命が伸び続けています。ところが、健康寿命との差が10年程度あるわけですから高齢者の増加により医療機関や介護施設の世話になる人数も自ずと増加するわけです。
そこには医療、介護の仕事量が表裏一体となって増えることが予想されるのでAIによる患者情報やデータの迅速、かつ正確な大量処理能力が大いに役立つはずです。従って、薬剤師はAIの知識が乏しくてもその活用には無関心でいられないはずです。
AIを利用して従来型業務を簡素化し、空いた時間を患者とのコミュニケーションに割くべきだといわれています。
AIの導入が進んできた時、服薬に伴う日々の体調変化や病に伴う心のケアなど、患者に寄り添うことこそ薬剤師が医療機関などと一緒になって担う業務にすべきだといわれています。今後更に、2025年問題に対応するため在宅医療、介護に軸足を移しつつあるわけです。
そこで、在宅医療、介護の職場にもこうしたケアが必要になるのでAIと業務を分担していくことになるはずです。それには薬局などで患者の現れるのを待っていてはならないということです。AIには任せがたい領域で仕事の質を向上させ、患者のQOL向上を目指すことでAIと棲み分けしていけるでしょう。
こうして、地域でかかりつけ医と同じような役割を果たして頼りにされる存在となるはずです。