仕事の中には、一日中立ちっぱなしで行うこともあれば、座りっぱなしで行うこともあります。人間の体のことを考えると、両方がバランスよく配分されていることが理想なのですが、もし立ちっぱなしでつらいということであれば、見直しも必要です。
薬剤師が仕事をするにあたって、もっとも多い職場となるのが調剤薬局です。医療機関のそばにあるのが今や当たり前の光景となりましたが、大きな医療機関のそばともなると、ずらりと立ち並び、どこも次々と処方箋を持ってくる患者さんで大混雑です。なかでは早く薬を作り上げなければと、薬のプロフェッショナルたちが立ちっぱなしで作業をしています。たくさんの薬棚から薬を取り出しては、それを必要な量、必要な日数分用意する作業は、座っていたのではなかなかはかどりません。必然的に立って作業を行うことになり、若いうちはいいものの、年齢を重ねてくると立ちっぱなしの調剤業務はさすがにつらいと感じるようになってくるでしょう。
薬剤師たるもの、薬を探して薬局内を飛び回り、調剤をすることが仕事だというイメージがありますし、当人もそのように考えていることが多いと思われますが、できることなら座って仕事をしたいと思っている人も多いでしょう。そんな人におすすめなのが、ドラッグインフォメーション、略してDIの仕事です。DIの仕事は、製薬会社などに勤務し、自社の製品の情報管理を担当します。そのため、パソコンを使ってのデスクワークがメインとなることから、あまり薬剤師らしくない仕事ともいえます。とはいえ、薬の専門家としてのちしきがあるからこそできる仕事であるのも確かですので、転職先に選ぶ人も多くなっています。
いくら毎日の業務が立ったままで行うためにつらいとはいえ、いきなり資格を取ってすぐにDIになるのは荷が重いと言えるでしょう。やはり現場で調剤薬局業務をこなし、たくさんの医薬品に触れるという経験をしたことによって、一つの会社の製品管理ができるようになるといえます。自社製品には詳しくなれても、他社製品とどこが違うのかということになると、調剤業務経験がないと全くわからないということにもなりかねませんので、ある程度現場で経験を積んだ上で、さらなるステップアップや、仕事の環境を変えたいために転職を考えるという流れが望ましいでしょう。それがステップアップになり、キャリアにも磨きがかかるよう、順序を踏むということになります。