高齢者の年々増加する社会が続いていますが、2年後から団塊の世代が後期高齢者になり始めるためその勢いが更に高まります。従って、今後しばらくは高齢者の増加するにつれて生活習慣病や認知症或いは、その予備軍の人も増えていきそうです。
高齢になると医療機関にかかる割合が増えてしまうことが避けられないので益々、医療や介護に係る専門職の不足感が高まると言われています。このため、今後とも医師や看護師と共に薬剤師の求人募集が増えると見込まれているため、こうした専門職の増員対策が以前から実施されてきました。
この中で、薬学系の専門職の増員対策では大学の薬学系学科や薬科大学の学生数増強が図られてきました。また、同時期に医薬分業の徹底化方針が示されて以降、わずか10年余りの間に大病院だけでなく地方の中小病院の周囲には薬局が林立する状態になりました。
事情を知らない人にとってこの医療機関の周辺風景の変わりようには驚くばかりでしょう。薬局が急増すればこうした専門職の求人にも影響するわけですから薬学系の学生が、国家資格を取得して人材募集の増えた店舗へ次々と職を求める時代が続いてきました。
こうした人材募集の好調さを背景として大学の薬学系学科や薬科大学を志願する高校生の人数が高水準を維持してきたことも頷けるわけです。店舗数が増加中は毎年、国家資格取得者が1万人程度、輩出されても人材の引き合いが多いため余剰感がありませんでした。
しかしながら、最近になってドラッグストアも含めた店舗数がコンビニより多くなり、これ以上、増える余地がなくなったと言われています。また、地方における公立病院の統廃合問題も追い打ちをかける可能性を秘めています。
薬局数が増えなければ薬剤師の人材募集も静まってくるはずです。一方で今後、店舗の増加が期待薄になっても高齢者で医療機関にかかっている患者の増加により店舗への来客数が増え続けると予測されています。高齢者には物忘れの人が多いですから服薬指導が大切な業務になるはずです。
中には、多数の薬を飲み合わせる人も少なくないので、お薬手帳を作ってきちんと服用する指導が必要になります。専門職には店舗における服薬指導で高齢者とのコミュニケーションの責務が重くなるようです。
店舗で1、2度説明すれば事足りるわけでなく、幾度となく説明する必要があるので、高齢者に寄り添う姿勢が求められるようです。今後、この専門職を目指す学生にも求人募集に応募する際、不可欠な心構えとして準備しておく必要があるはずです。